お役立ちコラム

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【いま考えるべき】アフターコロナの経営戦略3つのポイント

ここでは、アフターコロナのトレンドから飲食店に影響が大きいと思われるものをピックアップ、自社、顧客、競合における環境与件として整理しました。これら与件を踏まえて、今後の経営課題、経営戦略として何が取り上げられるべきか解説していきます。

アフターコロナの新たなトレンド

新型コロナウィルスの影響は地域、国家、民族の垣根を越えて、人類という種の単位で甚大な影響をもたらしています。全世界の感染者数は、統計に現れているだけで1億人を超え死者も230万人に上っています。日本国内の感染者数も40万人を超え死者は6千4百人となっています。(いずれも2021年2月8日時点)そして感染抑止の観点から人の活動が制限され、飲食店を始めサービス業を中心に経済活動が停滞しています。近い将来、ワクチンと治療薬によってこの状況は打開されるものと思いますが、1年を超えるコロナ禍の影響はその後も深く、経済の低迷を通じて、あるいは病後の健康を通じて、あるいは人々の意識の中に強く残っていくのではないでしょうか。そこで、今回の新型コロナウィルスがもたらしてものとして、次の3つのポイントに着目していきます。

感染症に対する危機意識

まず1つ目は感染症に対する危機意識の変化です。いわゆる風邪やインフルエンザも毎年流行があり、多くの方が罹患し、亡くなる方も少なくはありません。しかしそれを理由に勤務先を選んだり、余暇の過ごし方を変えたり、外食を控えたりする方は稀だったのではないでしょうか。これからはどうでしょう。
  • 突然現れる
  • ワクチンも治療薬もない
  • どの程度の症状になるか分からない
  • 後遺症の有無もよく分からない
  • 流行の拡大を通じて性質が変異しうる
未知の感染症を経験した後ではどうなるでしょうか。そうした未知の感染症が今後も出現しうると警告されていたらどうでしょうか。少なくない方が、現在の感染症対策を継続するのではないか、また公共施設や職場、商業施設の多くで何らかの感染症対策の継続が求められてくるのではないかと思っています。飲食店においても、手指の消毒、検温の実施、定期的な換気などの対策が歓迎される一方、不用意な会食を避ける傾向というのは続くのではないでしょうか。また会社経営においても、従業員の健康管理が今まで以上に重視され、さらには会社行事としての大きな宴会や会食はリスクと捉えられてくると考えられます。

経済格差への問題意識

2つ目は経済格差への問題意識が高まるというものです。新型コロナウィルスの影響は社会を分断に追い込むものだと考えています。それは世代間格差と経済格差の交わるところで起こってきます。感染抑止のための経済活動の抑制は業種業態を問わず、非正規雇用を中心とした多くの失業者を生み出しました。日頃経済的に困窮する方も多く、先行きの見通せない中で自ら命を絶つ方も増えていると聞きます。このような方達は比較的若い世代が多く、多少の健康リスクは承知しながらも経済活動を継続する便益が大きいとみられます。一方で、年金受給者や金融資産の厚い世代は、今の経済活動の抑制によるデメリットが比較的薄く、金融緩和によるメリットを享受しながらも、しかし健康リスクが大きい方達です。この方達は足元の経済よりも、何よりも感染リスクの低減を図ることの便益が大きいとみられます。この両者の立場の違いに、政局と政権批判とそれぞれの思惑が絡まっていることが、”何が正しそうなやり方なのか”の判断を難しくさせているような気がします。しかしこうした立場の違い、主張の違いを超えて”なんとなく”政治は運動を続け感染は収束していくのでしょう。そして残るのは、
  • 新型コロナによって経済的に困窮した人たちの声
  • 解雇や雇い止めにあった人たちの声
になるのだろうと思います。このような動きは法改正等を通じ、非正規雇用に対する格差の是正や雇用に対する企業への制約が強まっていくのではないでしょうか。同時にまた、副業やリモートワーク、ワーケーションに代表されるような既存の雇用契約にとらわれない働き方が一層推進されるものと思います。

国家・民族間格差の顕在化

3つ目としては国家・民族間格差の顕在化を取り上げます。今回の感染症の影響には、民族間の格差、政治体制による格差、経済発展段階による格差が見られています。まずは民族間の格差ですが、特にアジア圏に比べ欧米においては感染症が重篤化しやすく、また生活習慣から感染が拡大しやすい傾向にあるようです。統計の整備が進んでいるから、というのもあるのでしょうが、感染者数・死亡者数とも半数が欧米に集中しています。当然、コロナ後の復興状況にも影響が出てくるのでしょう。次に政治体制による格差の問題ですが、感染拡大抑止には経済活動の抑制と人の移動の制限が有効でした。そしてその実現、実効性は国民の主権制約が容易にできるほど高いものだったと考えています。顕著なのは中国の事例であり、比較的早期に感染拡大を押さえ込むことができたと聞いています。一方で民主主義国家の多くは、先に挙げた世代間格差、経済間格差の中、主権制約に慎重な立場を取った結果どっちつかずの対応が続き感染拡大が続いているといえそうです。こうしたことから、コロナ後においては特に中国の存在感が増していく、一方で民主主義のあり方も問われていくのではないでしょうか。最後に経済発展段階による格差です。全体主義的であれ、民主主義的であれ、感染拡大を抑え込みながら長い期間、経済活動を抑制し収束までを耐えるには充実した社会インフラと経済基盤が必要になります。自給自足経済の延長にあるような地域であればまだしも、グローバル経済に組み込まれこれからの経済発展を志向していたような途上国には大きな停滞となるのではないでしょうか。以上の内容から、中国の躍進、欧米の地位低下と政治体制の動揺、一部途上国の停滞というのがコロナ後にありうるのかと思います。当然いこれらは該当地域の経済活動、生産活動に影響してくるのです。

アフターコロナの顧客・自社・競合

それではこうしたアフターコロナのトレンドを踏まえ、こと飲食店においてどのような影響が出てくるのか、顧客、自社、競合という切り口から見ていきたいと思います。

顧客

顧客の視点から捉えれば、これは”外食の目的が変わる”となるのではないでしょうか。感染症に対する危機意識の継続から不用意な外食を控える傾向が続くのではないか、と書きました。今回の自粛生活が長く続くことで、”外食しない習慣が定着”することや、”中食・テイクアウト・宅配の利用機会が増えた”こと、さらには所得の低下と将来の経済不安から一定数の顧客が”外食離れ”を起こすのではないかと思います。そのような中で、わざわざ飲食店で外食をする理由、レストランでなくては提供できない価値が今まで以上に問われてくると思います。今後もますます中食・テイクアウト・宅配の攻勢が強まることでしょう。そうした機会を掴むことも必要かもしれませんが、街に店舗を構えお客様をお迎えする以上は、何のためにという「目的性」と店内で過ごす時間そのものの「体験価値」を見直す必要がありそうです。

自社

自社、あるいは自店の視点で捉えれば、”収益構造が変わる”ことではないでしょうか。まず顕著なのは賃料あるいは賃料効率への影響だと思います。現在間隔を開けている席間を今後戻せるのか、判断は慎重になってくるでしょう。また、不用意な宴会・会食を控える動きが続けば組人数も減少し席効率が悪化します。何よりリモートワークの継続や事務所移転、閉鎖等により立地の集客力が変わってくることと思われます。仕入れの面では、海外、国内ともに主要産地が引き続き安定した量と価格で取引可能か確認すべきでしょう。特に生育に年単位が必要な農畜産物、輸送に時間のかかる輸入品は現在の生産停止の影響が長引く恐れがあります。人件費についてはどうでしょうか。先にあげた経済格差の問題がフォーカスされ、経済的困窮者の救済機運が高まれば企業の人件費負担は重たくなってくるでしょう。そして結果的に、広く雇用を維持しながら生産性を上げることが求められてきます。そのための教育訓練費用も必要になってきます。また今回は職場や店舗を通じた感染にもフォーカスされていました。そのため、今後も継続的に従業員の健康管理を企業が主体的に行わなければならないとすると、これにも一定の費用がかかってきます。その他の販管費についても、引き続き店内の衛生関連費用や非接触オペレーション、その他感染対策設備に対する費用が発生してくるかもしれません。このような費用構造はコロナ前に戻ることはなく、店舗の収益を圧迫し続けるのではないかと思われます。

競合

競合の視点ではどうでしょうか。競合に限らず、自社でもこんな声がかけられているのではないでしょうか。それぞれは確かに有効な、効果的な対策なのかもしれません。しかしこうした営業からのアプローチはどの企業に対しても行われているものです。そのため、ただ導入するだけでは競争優位は作れず、これらの施策によって集客できたとしても長続きはできないのです。これら施策は自社、自店に固有の強みに基づき、どこよりも上手く活用できるというものにだけ手をつけるべきです。それ以外のものに向ける費用や時間は無いはずなのです。確かに、導入しなくては一部顧客の選択肢に入れないというものもあるでしょう。しかしそれでも、普及が進みベンダー側でもノウハウの蓄積がされ、十分コストが下がるまで、慎重に判断すべきです。

アフターコロナの経営戦略

ここまで、アフターコロナの新たなトレンドと顧客、自社、競合について概観してきました。それではこれらを踏まえてアフターコロナの経営戦略とはどのようなものになってくるのでしょうか。考えるべきポイントとして3つ挙げさせていただきます。これら3つの変革を、自社、自店に固有の文脈で明確にしていかなくてはならないと考えます。

1.集客構造の変革

来店の目的性と体験価値がより重視されると述べました。また立地毎の集客力にも変化が見られてくるでしょう。もう以前のような集客が見込めない店舗、逆に集客が強まる店舗が出てくることと思います。その観点から今一度既存事業、既存店を見直し新規事業、新店舗における集客を計画しなくてはならないでしょう。

2.コスト構造の変革

コストアップ要因は様々出てきます。これまでに無かったが負担せざるをえないコストや思いもかけないリスクへの対応も出てくることでしょう。人件費負担の増加は顕著に出てくる可能性があります。その他の販管費もいつの間にか増加しているということもあるでしょう。それらの負担をしながら、なお高い収益性を目指すには既存コストの低減と効率性の追求が不可欠なものとなります。

3.競争戦略の変革

市場の縮小が進み現状維持すらままならない環境になっています。商品開発や店舗設計、販促も外部専門業者が増えノウハウの囲い込みが難しくなってきました。今や新たな提案の多くは社外、店外から来るような時代です。新規取り組みが先行者利益を生み出せる期間はますます短くなってきています。しかしだからこそ、それでも残る自社だけの強みに立脚しない限りは競争戦略の描くことが難しいのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。多くの戦略論では、自社の経営目的に対し経営資源をいかに配置していくのか、これをどのように決定すべきかが論じられています。市場、顧客、競合、技術水準が自明である限りはこれを戦略論の要として差し支えなかったのでしょう。しかし、アフターコロナという未曾有の状況においては、これらの自明を自明とせず、”我々はどのように考えるか”から戦略論が始まるのだと思います。最後に挙げた3つのポイントに沿って、今一度経営方針を、事業計画を見直してみてはいかがでしょうか。
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