五十嵐茂樹の情熱塾〜プロ店長養成講座【第14部】
第14部 プロモーション
Promotion
そのためには、お店を販促とした活動、つまり商品が販促、おもてなしが販促、そして、お店の掃除が販促になっていなければなりません。
このベースがあって、さらなる発展のための活動がプロモーションです。
2つの販促活動
店長が行わなくてはならない活動にプロモーション(販促活動)があります。
それは、自らの力でお客様の満足と、そして新たなお客様の創造をすることで自店舗を繁盛店へと導いてゆくためです。
ではここで、店長が行なってゆくプロモーションについて説明します。
このプロモーションには大きく分けて店舗内活動(内商)と、そして、店舗外活動(外商)があります。
店舗内活動の目的
店舗内におけるプロモーション(内商)の目的は、現在自店舗をご利用していただいているお客様に対して、再来店を促し、来店頻度を高めることです。
つまり、一度ご来店いただいたお客様に、次回も来ていただくための活動になりますが、この前提には、お客様の満足と感動が大切になってきます。
よくお店を訪問すると、入り口周辺のゴミ箱にいろいろなクーポンが投げ捨てられているのを見ますが、そんなお店に限ってお客様の満足と感動を前提にした販促活動が行われていません。
これでは、単なるクーポンのばらまきで、気休めにしかなりません。
最悪の場合、店舗内プロモーション(販促活動)が逆効果になることさえあります。
販促活動の基本は、あくまでもお客様の満足と感動を最良の販売促進活動にしながら行うものです。
そんなお客様の満足と感動を得ながら、同時に店舗内の販促活動を行うから効果的な売上対策になってくるのです。
店舗内活動の基本的なツール
ではここで、店舗内プロモーション(販促活動)の基本的なツールについて説明します。
例えば、メニューブックですが、これも立派なプロモーションツールの一つです。
このメニューブックを見て、お客様が商品を選び注文するのです。
このメニューブックが、ボロボロであったり、実際の商品と違う写真では、お客様の期待は完全に裏切られることになります。
お客様は期待通りか、もしくは期待以上のものがお店から提供された時に、リピーターとなって再来店されるのです。
お客様は基本的にこなくて当たり前です。
そして来ていただいても2度3度来なくて当たり前のお客様に来ていただき、そしてまた来ていただく訳ですから、大変な努力をしなくてはなりません。
8つの店舗内プロモーションツール
1. メニューブック
店舗内プロモーション(販促活動)では、最初のツールがメニューブックになります。
メニューブックを見てお客様が商品を選び、そして注文するのです。
お店の方も、販売する商品のメッセージをこのメニューブックに込めているのです。
だからメニューブックが店内販促ツールのスタートになるのです。
メニューブック5つのPOINT!
- つねに常にな状態のメニューをお客様に見ていただけるようにしておくこと。
- 看板メニューや貼り紙メニューは色褪せややぶれがない状態にしておくこと。
- 写真メニューの場合は実物と同じ状態のものにしておくこと。
- 特に売りたい商品(自信作)は、別メニューを用意すること。
- メニューは見やすくわかりやすい状態に分類しておくこと。
- ※ 注意点としては、メニューがボロボロであったり、破れていたのでは、商品そのものの価値を下げることになってしまうので注意しなくてはなりません。
2. POP(ポップメニュー)
テーブルの上に置いてあるのがPOPメニューです。これもメニューと同じで、お店で販売する商品のメッセージが込められています。
POPメニューの5つのPOINT!
- POPメニューもいつも綺麗な状態にしておくこと。
- 色褪せや破れのない状態にしておくこと。
- 形の崩れたPOPメニューは新しいものと差し替えること。
- アクリルのPOPは、ピカピカに磨いておくこと。
- テーブルの置く場所をあらかじめ決めておくこと。
- 注意点としては、アクリルが汚れていたり、POPの形が崩れていたのでは訴求効果が弱くなってしまうので注意しなくてはなりません。
3. ポスター
店舗内には、季節の商品紹介やキャンペーンポスターがあると思いますが、これも店舗内販促の大切なツールです。
ポスターの5つのPOINT!
- ポスターの汚れや破れには十分注意すること。
- 色褪せたポスターは常に新しいポスターと入れ替えておくこと。
- ポスターはできるだけポスターパネルに入れて管理すること。
- ポスターを掲示する場所は、十分にお客様の目につく場所を選ぶこと。
- わかりやすい内容のポスターにすること。
- 色褪せや破れたポスター、それにセロテープで補修しているポスターや何年も同じポスターでは、訴求効果が弱いので注意しなくてはなりません。
4. クーポン券の配布
クーポン券等の配布は、もちろん繰り返し来ていただくことを目的に行う店舗内プロモーション(販促活動)です。
クーポン券の5つのPOINT!
- 一番のポイントは、お客様の満足と感動が販促になっていること。
- クーポン券を渡す時には必ず一言添えること。
- クーポン券のサイズや紙質には十分注意すること。
- 同じクーポン券を何度も配布しないこと。
- クーポンにゲーム感覚を取り入れること。
- クーポンの配布は、良いオペレーションができていることが絶対的な条件になってきます。
オペレーションがよくないのに、クーポンを配布すると必ず逆効果の現象が起こるので注意しなくてはなりません。
5. キャンペーンの実施
キャンペーン活動には様々なものがありますが、一般的なものではスタンプラリーやスクラッチカードで、繰り返しお店に行くことで、何か商品がもらえるものです。
これも来店頻度を高めることを目的として店舗内販促ツールです。
キャンペーンの5つのPOINT!
- お店の状態が良くない場合には、キャンペーンを見送ること。
- キャンペーン期間中に熱烈なファンを作ること。
- キャンペーンの内容をわかりやすくしておくこと。
- キャンペーン実施のことを必ずお客様にお知らせすること。
- ノベルティー商品は絶対に切らさないこと。
- キャンペーン期間中にどれだけお客様と親密な関係になれるかが、その後のお店の成長に関係してくるので、できるだけ多くのお客様とコミュニケーションを取ることが重要です。
6. お客様の声カード
よくテーブルポップ等に入れてあるお客様の声カードは、実は店舗をお客様の要望に近づけるための最大の店舗内販促物です。
お客様の声カードの5つのPOINT!
- 必ず内容を確認し、今後の業務改善改革に役立てること。
- クレームのおハガキは全員で共有すること。(休憩室等に貼り出すこと)
- お褒めのおハガキも全員で共有すること。(休憩室等に貼り出すこと)
- 手書きで十分ですから必ず返事を書くこと。(担当者が書くこと)
- お客様の声カードのおハガキは必ず十分に補充しておくこと。
- お客様の声カードは単なるアンケート用紙ではありません。
お客様のお店に対する評価やお店に対する要望が多く書かれていることを忘れてはなりません。
返事を出すことは、もう一度我々に仕事のチャンスを与えてくれます。
この度は、私どものハートフルスマイルカードにご記入していただきまして誠にありがとうございます。
私、当日お客様のサービスを担当いたしました斉藤晶子と申します。
石田様から、「すいません、お料理が遅いのですが」と言われるまで、お料理の提供が遅れていたことに気づかず誠に申し訳ございませんでした。
お客様からの「すいません」のお言葉は、私どもではクレームと言っています。石田様には余計な気遣いをかけてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
私、ことたびの石田様の貴重なご意見で、少し仕事に慣れて雑さが出ていた自分に気づくことができました。
ありがとうございました。これからも、皆様に愛される店づくりを目指して頑張ってまいりますので、引き続きご愛顧いただけますようよろしくお願い申し上げます。
令和6年8月12日
お食事処 花春
接客担当 斉藤晶子
7. お客様データの活用
スタンプラリーやクーポン券の裏を利用して、お客様データを収集し、DM等での販促活動です。
これは、ダイレクトにお客様に対してアプローチをかけることができる効果的な活動です。
お客様データの5つのPOINT!
- お客様のデータを集める仕組みを作ること。
- お客様データを確実に守れる仕組みを作ること。
- お客様の利用頻度をABCに分類すること。
- 常連のお客様には定期的にダイレクトメールをお出しすること。
- 販促の案内だけではなく、誕生日カード等の工夫をすること。
- 単にお客様のデータの数だけ追うと大きな費用がかかり、非常に高いものになってしまうので中止なくてはなりません。
多くの企業がこれで失敗しています。費用対効果を考えてデータの分類を行うと良いでしょう。
また、お客様データは大切な個人情報ですので、しっかりした管理が大切です。
もしお店や会社でその情報を持つのであれば、お客様をお店として会社として守る責任があることを忘れてはなりません。若干費用はかかるかもしれませんが、できることならしっかりしたところに外注することをお勧めします。
8. 特別な配布
特別な販促とは、お客様が店長に変わって店を宣伝してくれる販促活動のことです。
実は、この販促活動が一番効果的なのです。
特別な販促
の5つのPOINT!
- お客様の満足を得る絶対的なオペレーションを常に行うこと。
- 全員でお客様の名前を覚えること。(一人最低でも50人以上)
- お客様のお迎えをお名前ですること。
- 好きなお料理は覚えておくこと。
- 来店回数を知っておくこと。
- お客様が店を宣伝してくれるお店になってこそ真の繁盛店というものです。
5つの店舗外プロモーションツール
1. Web販促
自社のホームページにメールマガジン、それに、ブログ。さらには、他社の検索サイト(グルナビや食べログ、GoogleやYahoo!)などを活用することで予約獲得や獲得や来店動機につなげる販促活動です。
Web販促4つの注意点!
- ホームページは季節やキャンペーン毎に更新すること。
- メールマガジンは、期間を定めた定期サイクルにすること。
- ブログは、内容にもよりますが毎日でも大丈夫です。
- 他社の検索サイトは、更新の回数をできるだけ多くすること。
- お店の魅力を活かし、ホームページを見る人に優しさと温もりを感じていただけるように作成することが大切です。
また、サイト作成で最も大切なことは、ホームページを訪れるお客様の視点に立つことです。
どうすればホームページを閲覧する人々の共感を得るサイトを構築できるのか?
どうすればお客様を目的のコンテンツに誘導できるのか?
それにそれにアンケートや予約システム等々、すべてお客様の立場に立って開発することです。
専属の社員を配置するか、外注するかでコストも変わってきますが、今の時代の一番の販促ツールですので重要度は高くなります。
2. 法人営業販促
法人営業販促とは、グランドメニューやコースメニュー、それに宴会メニューやキャンペーンのお知らせなどを商圏内の事業所や商業施設等への挨拶回りを兼ねて販促活動を行うものです。
法人営業販促の5つの注意点!
- 法人営業は、なんといっても繰り返し、繰り返し訪問すること。
- 事業ション時よっては、メニューを配布または掲示していただくこと。
- 幹事様とは親しくなること。
- 初めての事業所には、クーポン券等をお渡しすること。
- 商圏内の事業所はくまなく回ること。
- 法人営業は、一度や二度行ったぐらいでは、なかなかご来店いただけるものではありません。
繰り返し足を運んでこそお客様に来ていただけます。
3. ポスティング販促
ポスティング販促とは、封筒に挨拶文やメニュー紹介、それにサービス券やドリンク券などをつけて、商圏内のメールボックスに投函する販促のことです。
労力はかかりますが、効果性の高い販促活動の一つです。
ポスティング販促の3つの注意点!
- 封筒の中に入れる配布物はできるだけ少なくすること。
- ターゲットと配布地域を明確にすること。
- ポスティングは繰り返し行うこと。
- 内容や配布の仕方に問題があると多くが捨てられます。
お客様が来たくなるような内容にすることが大切です。
4. チラシ販促
チラシ販促の特徴は、一度に広くターゲットとなりうる地域に対して、メニューの紹介や割引クーポンで新たなお客様の来店を促すことができます。
費用も高めなので、費用対効果を十分に検討する必要はあります。
チラシ販促の5つの注意点!
- キャッチコピーはお客様にとってわかりやすい内容にすること。
- お店の自慢の逸品をチラシの全面に打ち出す。
つまりお店に来ていただいて食べていただきたい商品です。 - お店の場所が確実にわかるような大きめの地図を入れること。
お客様はお店のことを知らなくて当たり前で、目の前にあってもわからないものです。 - 配布人配布枚数には十分な検討が必要です。
- ターゲットに合わせた配布地区にすること。
- 特に競争が激しい地区では、自分たちの強みを全面に出さないと、他のチラシに埋もれてしまうことがあるので注意しなくてはなりません。
5. 地域活動販促
地域活動販促とは、地元のお役に立てる活動を通じて行う販促のことです。
直接的に売り上げに結びつくことはありませんが、地元に仕事以外で貢献することで、なくてはならないお店になってゆくのです。
地域活動の3つの注意点!
- 町内会などへの挨拶を行うこと。
- 地域の運動会や文化祭へ参加も行うこと。
- 地域のゴミ拾いやお掃除のお手伝いも忘れないこと。
- 自分たちが商売をしている地域の人たちと一緒に活動することが何より大切です。
時間が許す限り、コミュニティに溶け込むことによって、その地域にとってなくてはならないお店にしてゆきます。
行動計画
販促を計画し、そして、結果としての売上高と利益の目標を達成してゆくためには、目標を達成するために取るべき手段を計画しなくてはなりません。
これが行動計画(Action Plan)というものです。
目標が達成されない多くの原因は、この行動計画の不十分さにあります。
逆に、しっかりとした行動計画が立てられたら、目標への道のりは半分終えたと言えます。
そこで、行動計画を立てる際には、各段階を慎重に検討した上で、プランを練り上げてゆく必要があります。
これが成功への近道であることを忘れてはなりません。
販促活動まとめ!
仕事とは社会にお役に立てってこそ、その仕事の存在価値があり、単なるお金儲けではないはずです。
お店も、その地域の人たちに愛され、そして、なくてはならないお店になってこそ社会にお客に立てているというものです。
そんな、地域の人たちの役に立てる販促こそが、実は真の販促活動になってきます。
今回紹介したプロモーション(販促活動)の他にも、まだまだたくさんのプロモーション(販促活動)があると思いますが、どれもお客様の満足と感動なくしては効果的な活動にはなりません。
お客様が満足と感動をするということは、期待通りか、もしくは期待以上のことがお店から得られた時です。
大切なことは、活動そのものではなく、結果としてのお客様の満足と感動にあることを忘れてはなりません。
真の販促活動
販促活動の目的は、お店を繁盛店、そして大繁盛店へと導くための活動であり、決して一時的な売上高を取るためではありません。
そのためには、お店を販促とした活動、つまり商品(クオリティー)が販促になっており、おもてなし(サービス)が販促になっており、そしてお店の掃除(クレンリネス)が販促になっている営業が日々行われていなくてはなりません。
つまり、お店が販促になっているということは、お客様に外食の楽しさ豊かさを提供できているということであって、その地域の人たちのお役に立てる仕事ができているということです。
幸せを広げる活動こそが、真の販促活動ということを忘れないでください。
最後には、その活動によって来られたお客様の満足と感動を得ることで売上高の流れを作ることです。
お客様の満足と感動を得ることができなければ、その販促活動が逆効果になってしまいます。
特に多くのお客様が来店するときには、十分な準備と対応が必要になってきます。
たくさんのお客様に来ていただいても、そのお客様の満足と感動を得ることができなければ、販促後の売上高が販促前の売上高を下回ってしまう恐れすらあります。
そういう意味で、販促活動は、成長へのチャンスを呼んでくれますが、逆に、お店をマイナスに持ってゆくこともあることを忘れないでください。
謝辞
故五十嵐茂樹氏の生前のご厚意に深く感謝いたします。
また五十嵐由美子様におかれましてはテキストの提供ならびに掲載の許可をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。