お役立ちコラム

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五十嵐茂樹の情熱塾〜プロ店長養成講座【第13部】

第13部 マーケティング
Marketing

マーケティングと聞くとすぐに市場調査だとか、消費動向と思ってしまう人が多いかもしれません。
私が考えるマーケティングとは、「売上高を成長させるための実践的な活動」と位置付けています。
つまりマーケティング活動が売上対策になってくるということです。
それは、待ちの商売から、積極的に出てゆく攻めの商売に転じることで、お店を繁盛店へと導くことなのです。

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レストランマーケティング3つの分析

  1. スタンダード(Standard)分析
  2. 価格(Price)分析
  3. プロモーション(Promotion)分析

※この3つの分析が一体となって、はじめて繁盛店への道が歩めるのです。

スタンダード分析

この表は、お客様のお店に対する期待と、実際にお店で提供しているQ・S・Cのレベルを表したものです。

数値で表現されているものとしては、売上高の前年比がそれにあたります。
お客様は、必ずお店に何らかの期待をしてご来店しています。
そして、期待通りか期待以上のものをお店から感じた時に、再来店してくださるのです。

しかし、大変残念なことですが、お客様の期待に応えることができなければ、お客様は確実に減り続け、最後には不振店になってしまいます。
スタンダード分析とは、そんなお客様とお店の関係を明確にしたもので、自店舗の状態を知るためのものです。
この分析によっては、お料理を見直し、サービスを見直し、さらには、雰囲気を見直すことにつなげます。

価格分析

価格まではなかなか自分で決めることができる店長は少ないと思いますが、もし、自分で価格を決めなくてはいけないとなると、実際に価格とお店で提供しているQ・S・Cのバランスで悩むことになるでしょう。
それは、価格とQ・S・Cのバランスでお店の価値が決まるからです。

上記の図表は、価格に対してお客様に提供しているQ・S・Cの価値がどのくらいなものかを明確にしたものです。
もちろん収益性も重要ですが、お客様を納得させるだけの価値がなくては、繁盛店はおろか、お店の存在すら危うくなってきます。
しかし、価格は本部やオーナーが決めるものと考えている店長たちにとっては、本当の意味での自分のお店の価値を理解することができないために、お客様の気持ちも理解できないのです。
一方で、価格を本部やオーナーが決めていたとしても、お店を繁盛店へと導く店長たちは、価格とQ・S・Cのバランスでお店の価値が決まると理解しています。
これが出来てくると、経営者としての資質を身につけた店長ということになってきます。

では価格についてですが、価格は単に「高い安い」の問題ではありません。
重要なことは、提供しているQ・S・Cに対して、その価格が妥当で価値があるかどうかということです。
勿論収益性の問題も無視はできません。
そういった意味では、Q・S・Cのレベルが高く、お客様が得をし、我々も得をする価格の設定が何より重要になってきます。

これがマーケティング分析2番目の価格(Price)です。

プロモーション分析

マーケティング分析の最後が、プロモーション(Promotion)分析です。
我々の商売は「待ちの商売」と言われています。
つまり、きていただいたお客様の満足と感動を得ることで、お店を繁盛店へと導くのです。

極端な話ですが、ひたすらお客様を待ちながら商売をするのです。
もちろん来ていただいたお客様の満足と感動を得ることが商売繁盛につながることは間違いありませんが、それだけでは今の時代、なかなか繁盛店にはなれません。
そこで、マーケティング分析の一つであるプロモーション分析の活動が重要になってくるのです。
それは、自らの力でお客様を作り続けるために行う活動です。
お客様を作り続け、そして、お客様を増やすことのできる店長こそが、真のプロ店長ということです。

効果的な販促活動を行うためには

  1. 自店舗分析
  2. 3つの基本ターゲット
  3. 販促活動の基本戦略

自店舗分析

販促活動を行う前に大切なことが自店舗分析です。
それは、一体自店舗がどのような場所で商売をしているのかを自分自身でしっかりと把握しなくては、お店が繁盛することはあり得ないからです。
また、販促活動に効果がないのではなく、効果的な販促活動を行なっていないということをみなさんに認識していただくためです。
自店舗分析を行うということで、自店舗を知り、他店舗を知り、そしてお客様を知ることで、お店を成長させる販促活動を展開するのです。

自店舗分析4つの手法!

自店舗分析の第一歩は、自店舗の現在の状態を客観的に再認識することにあります。
それには、内部分析だけではなく、外部の競争店の状況も含めてトータルな分析が必要になります。
具体的には、

  1. 売上高分析
  2. 競争店分析
  3. お客様分析
  4. 視認性分析

ターゲット分析

一般的にターゲットとは、的、標的、目標という意味ですが、プロモーションにおけるターゲット分析も同じことです。
つまり、攻めるポイントを具体的に明確に設定することで、効果的な販促活動を展開してゆこうということです。

それは、以前のように一度に多くのチラシを配布することで、多くのお客様を獲得できなくなってきているためです。
統計で比較すると、5〜6年前のチラシの回収率と比べると、現在のチラシの回収率は半分以下になっています。もちろん販促企画の内容によってもその違いがありますが、同じような内容であったとするならばの話です。こうなってくると費用対効果がかなり難しくなってきます。
つまり、反則にかけた費用分の経費が、その企画から得る利益の中から出すことができないということです。
そこで必要になってくるのが、ターゲットを分析することで効果的な販促活動を展開することです。

販促活動では、この基本的な考えが重要になってきます。

3つのターゲット分析

ターゲット分析の基本は、3つの視点から分析していきます。
もちろんさらに細かく分析することで、より効果的な反則活動を展開することも可能です。
しかし、あまり分析にこだわりすぎて、逆にピンボケになることもあるので注意してください。
それでは、3つのターゲット分析について説明します。

  1. 時間帯ターゲット分析
    時間帯ターゲット分析とは、どの時間帯のお客様をターゲットとした反則活動を展開するのかを設定することです。
    具体的には、ランチタイムをターゲットにするのか、アイドルタイムをターゲットにするのか、またはディナータイムをターゲットにするのかといったことです。
    このことが時間帯ターゲット分析になります。
  2. 地域別ターゲット分析
    地域別ターゲット分析とは、どの地域のお客様をターゲットとした販促活動を展開するのかを設定することです。
    具体的には、一次商圏であったり、二次商圏といったことになってきますが、もっと細かく何々地区であったり、何々事業所であったり、または、何々大学・専門学校と設定することもあります。
    このことが地域別ターゲット分析になります。
  3. 客層別ターゲット分析
    客層別ターゲット分析とは、どの客層のお客様をターゲットとした反則活動を展開するのかを設定することです。
    具体的には、ファミリーなのか、ビジネスマンなのか、またはOLや学生なのかといったことです。
    このことが客層別ターゲット分析になります。

自店舗の基本ターゲットを設定
  • どの時間帯のお客様を増やしたいのか?
    自店舗の問題となる時間帯や、今後期待できる時間帯をまずは明確にすることです。
    売上対策の基本は、時間帯対策です。
    そうなるとオペレーションの強化と並行して販促活動が重要になります。
  • どの地域のお客様を増やしたいのか?
    どのお店にも必ず、一次商圏、2次商圏、そして3次商圏があります。
    全く来ない地域にいくら販促を仕掛けても、それはお金の無駄というものです。
    問題は、核になる証券で、自店舗ではまだ取れていない地域になります。
    ここへのアプローチが販促活動を効果的にしてくれます。
  • どの客層のお客様を増やしたいのか?
    ファミリーなのかビジネスマンなのか、それとも学生なのかを明確にする必要があります。
    これによって、販促ツールもコピーも変わってきます。
    時間帯を明確にし、攻める地域を明確にし、そして客層を明確にするのです。

以上が3つのターゲット分析になります。

2つの基本戦略

自店舗の現状分析、3つの基本ターゲット分析の次は、プロモーション活動の準備の最終段階になる2つの基本戦略を設定することです。
その2つとは、1.販促ツールの決定 2.販促活動の行動計画です。

この販促ツールの決定と、反則活動の行動計画ができれば、あとは以下に計画通りに進めて実践してゆくかになります。
立派なツールや計画書を作ったとしても、店長としての実行力が弱ければ、より良い成果を得ることはできないことを忘れてはなりません。

1.販促ツールの決定

3つの基本ターゲットを決定したら、次に行うことは販促ツールを決定することです。
つまり、ターゲットにあった販促ツールを選ぶことになります。
ここでターゲットとする時間帯や地域、それにターゲットとしている客層が、選んだ販促ツールやキャッチコピーと合致していないと、せっかくの販促活動も期待した結果を得ることはできないので十分に注意しなくてはなりません。
この販促ツールの選択や、キャッチコピーに対する細やかな気の使い方が、大きな成果の差になってくるのです。

2.行動計画の作成

良い仕事を行う基本は、良い行動計画の作成と、その行動計画の確実な実行にあります。
そこでまずやらなくてはいけないことが、良い行動計画の作成になります。
この行動計画作成には、明確な計画と目標数値の設定が必要です。
場当たり的になんでもやる。というやり方では、対策と結果を把握することができず、同じ失敗を繰り返すことになるので注意しなくてはなりません。

具体的には、今までの項目を計画に取り込むことです。

  1. どの時間帯のお客様を増やしたいのか?
  2. どの地域のお客様を増やしたいのか?
  3. どの客層のお客様を増やしたいのか?
  4. 販促ツールは何を使うのか?
  5. 販促の時期と数値目標はどうするのか?
  6. そして誰がいつどのようにして行動するのか?です。

以上が、効果的な販促活動を行うための準備作業になってきます。

現状分析から基本戦略までの流れ

戦略を立てた販促活動

毎回お決まりのように、同じ販促を繰り返している店長を多く知っていますが、必ずといっていいほど同じことを聞きます。
それは「最近販促の効果がほとんど無い」ということです。

そこで販促活動の内容を聞いてみると、前回と同じ内容ということがあまりにも多くあります。
ただ単に、同じ内容の販促を繰り返しただけで売上高が取れるのであれば、ほとんど全てのお店が繁盛店になっているはずです。

しかし、そうなっていないということは、効果的な販促活動が行えていないということです。
何も特別な販促活動のことを言っているのではありません。
それは、同じようなことを行なっているようでも、結果が全く違ってくるということを言っているのです。
例えばチラシ販促一つとっても、方法によっては販促チラシの回収率が何%も違ってくることがよくあります。
それは、チラシを配布する地域、それにチラシを入れる曜日や1回あたりの枚数、そしてチラシの内容の違いからくるものです。
私は同じチラシは、二度と使わないということを基本にしています。
例え宣伝文句1行でも必ず変えて打つことにしています。
それは、1回1回の販促活動の結果分析をもとに、次の販促計画をたて、効果的な活動にしているからです。

お店が販促

お客様を満足させることこそが、最良の販売促進策であることは言うまでもないことです。
つまり、お客様にお出しする商品が販促、お客様に対するおもてなしが販促、そして、お店のお掃除が販促になっていなくてはならないと言うことです。
このお店そのものが販促になっていなくては、せっかく販促活動でお客様にお店に来ていただいても、ご来店いただいたお客様のご満足と感動を得ることができず、販促活動が逆効果になってしまうからです。

お店が販促、これが繁盛店になるための基本中の基本であることを決して忘れてはなりません。
店長たちが良いオペレーションを使用と日々努力しているのも、ご来店いただいた全てのお客様の満足と感動を得るためであり、それが引き続きこれからも利用していただくための最良の方法であると言うことを理解しているからです。
この前提があってこそ、繁盛店への道を歩むための店長による販促活動が活きてくるのです。
つまりレベルの高い店舗運営を最良の販売促進策とした上で、さらなる発展のための手法が、店長が行う販促活動ということになります。
それは現在のお客様だけではなく、将来お客様となる可能性のある人にも、自店舗の良さを知っていただく必要があるためです。
つまり、本当に良い状態だからこそ、一人でも多くのお客様に知っていただき、そして、ご利用いただくことでその地域の人たちに愛されるお店にするのです。

そのためには、常にお客様の声に耳を傾け、お客様の要求に合わせ、いつもお客様に応える姿勢でなければなりません。
そして、お客様と共に歩むことです。
お客様の考えに尊敬を示せば、我々もお客様からの尊敬を勝ち取ることができます。

 

お客様と私たち
※ お客様は私たちのビジネスの中で最も重要な方です。
※ お客様あっての私たちであって、決してその逆ではありません。
※ お客様は私たちの仕事の邪魔者ではなく仕事の目的そのものです。
※ お客様は何かを期待して私たちの店にやってこられます。
※ お客様のその期待に十分応えるのが私たちの務めです。

謝辞
故五十嵐茂樹氏の生前のご厚意に深く感謝いたします。
また五十嵐由美子様におかれましてはテキストの提供ならびに掲載の許可をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。



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