五十嵐茂樹の情熱塾〜プロ店長養成講座【第12部】後編
第12部 サービスマネジメント(後編)
Service Management 6 Steps
このサービスのレベルが明確になるということは、自店舗が一体どのレベルのサービスをお客様に提供できているのかを、判断できるということでもあります。
抽象論から具体論へ、そして印象評価から段階評価への移行でもあります。
自店舗のサービスレベルの把握と、一つ上のサービスレベルを目指すことでお店の人気を高めてください。
ステップ 1. アピアランスと挨拶のサービス
当然ですが、アピアランスや挨拶は、お客様をおもてなしするスタートです。
そのアピアランスや挨拶ができていないということは、お客様をおもてなしする準備ができていないということです。
そこでサービスマネジメントのスタートを、アピアランスと挨拶にしています。
これは基本中の基本です。
ほとんどのお客様は、お店に入った時の第一印象で最初の評価をしています。
このことを、第一印象評価と言っています。
この第一印象評価を高めることが、まずは何より大切になってきます。
では、何によって第一印象は決まるのでしょうか?
印象を決定する要素3つの法則!
(見た目)・・・・・・55%
(声の大きさ、質)・・38%
(言葉の内容)・・・・ 7%
つまり、清潔感のある服装や、快活な挨拶が好印象を決定づけます。
大事なことは自分がどのように見えているかを知ることです。
どんな顔つきをしているのか、どんな癖があるのかをまずチェックをすることです。
このチェックだけでも多くの欠点が直ってしまうことさえあります。
自分を知らなければ、良い印象を与えることはできないと言えます。
- 「髪型」➡︎散髪されていますか?髪の色はどうですか?
- 「表情」➡︎顔つき、目つき、笑顔はどうですか?
- 「服装・身だしなみ」➡︎清潔感や着こなしはどうですか?
- 「姿勢・立ち方」➡︎背筋が伸びていますか?指先まで神経が行き届いていますか?
- 「全体の雰囲気」➡︎明るく元気ですか?
我々の商売は、第一印象が決め手
店内に入った途端に、嫌な感じを受けるお店があります。
その原因の多くは、お店で働く人たちの身だしなみの悪さにあります。
実は、この従業員の身だしなみでお客様はあなたのお店を評価しているのです。
特に、初めてのお客様はそのお店の働くスタッフを見て、お店の良し悪しを決めるのです。
働いているスタッフに清潔感があり端正な身だしなみをしていれば、お客様から最初の信頼を得ることができますが、しかし、不潔な感じやだらしのない身だしなみでは、お客様から不信感を得ることになってしまいます。
あなたにとっても第一印象が大切なのと同じで、お客様にとっても第一印象は大切なことであることを忘れてはなりません。
我々の商売は第一印象で決まります。
第一印象評価
それは、
「このお店は、元気があって良いお店だね」
「このお店は、笑顔がとても良いお店だね」
「このお店は、掃除が出来ていて大変きれいなお店だね」
「このお店は、店長の躾がよく出来ているお店だね」
といった具合です。
もちろん、逆の第一印象評価もあります。
それは、
「このお店は、暗い感じのお店だね」
「このお店は、だらしないお店だね」
「このお店は、汚くて不潔なお店だね」
「このお店は、店長の躾がなっていないお店だね」
と言ったことです。
これが、お客様のお店に対する第一印象評価です。
みなさんも、お店に行ったら必ずこんな評価をしているものと思います。
この第一印象評価が決まるまでの時間は非常に短く、お客様が店内に入られてから約1分で決まります。
この僅か1分でお店の評価が決まるということは、身だしなみと挨拶一つからでもお店は大きく変化するということです。
アピアランス(身だしなみ)
アピアランス(身だしなみ)には人格が表れると言います。
特にどんなお店かわからない時には、お店のスタッフを見て、そのお店の良し悪しを決めます。
清潔感があり端正な身だしなみは、信頼と尊敬を創ります。
働くことに対する意欲の表れとして自分自身の身だしなみがどれだけ整っているのか、よく確認しましょう。
身だしなみの基準を明確にする
では、なぜこんな基本的なことができないのかと考えると、概ね悪い評価を受けるお店では身だしなみや挨拶の基準が、かなり曖昧で抽象的になっているからです。
例えば、「きちんとした身だしなみと、きちんとした挨拶をしよう」とか、「化粧は感じの良い状態です」と言った具合です。
これだと、本人の価値判断基準になってしまい、結果としてアピアランス(身だしなみ)や挨拶ひとつ徹底できないことになってしまうのです。
お店の第一印象評価を高めるためには、まずはこの基準を明確に設定し、そしてその基準をみんなで守る状態を作ることです。
そのためには、アピアランス(身だしなみ)の基準はできるだけ具体的に、そして挨拶は、まず接客用語(グリーティング)の明確化と発生の練習が必要です。
身だしなみチェック
魅力ある男性のアピアランスチェック表(20項目)
輝く女性のアピアランスチェック表(23項目)
挨拶(グリーティング)
次に大切なことが、挨拶(グリーティング)です。
これも、お店としてきちんとできているところが実に少ない状態です。
そのほとんどは個人の資質任せです。
だからお店としての統一感がなく、お客様からの高い第一印象評価を得ることができていないのです。
そこで必要になってくるのが、仕事の流れと挨拶(グリーティング)の設定と、発生の練習です。
もちろん、お店のコンセプトや雰囲気によってその挨拶(グリーティング)は変わってきますが、自店舗の良さを最大限に表現できる挨拶(グリーティング)のレベルで設定すれば良いのです。
10の接客用語!
一般的なお店であれば、お客様のご来店からお帰りになるまでの特に重要な挨拶(グリーティング)になるため、お店の人全員が表現できることが重要です。
その時、わが店の「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」の挨拶は、お客様と目を合わせ、笑顔で感じよく、そして大きな声で爽やかに挨拶する。
と言った具合に状態を明確にしなくてはなりません。できれば、朝礼や夕礼、それにシフト前の発声練習を取り入れることを勧めます。
その時、見本を示すことでその基準をより明確にすることが出来ます。
笑顔は最大の商品
笑顔の素敵な人は、誰からも愛される素質をはじめから持っていると言えます。
第一印象で全てが決まる接客時に、お客様にアピールできる笑顔は、ただそれだけで大きな商品価値があると言えます。
日頃の訓練で、最高の笑顔を身につけましょう。
2 目は相手に向かって、半円を描くような気持ちで視線を動かす。
3 優しく目で笑う。
4 唇の両端を2〜3ミリ上に持ち上げる。
5 毎日5分間、鏡に向かって訓練する。
6 時々、他の人に評価してもらう。
美しい立ち振る舞い
優雅でスマートな美しい動作は、正しい姿勢を作る基本訓練から生まれます。
ほんの些細な動作の中からでも、端正で、躾の行き届いた教養の豊かさや人柄がにじみ出て、お客様に信頼感を持っていただけるでしょう。
2 指を揃えて伸ばす。
3 品物の受け渡しは、なるべく両手で行う。
4 動作は、一つひとつ区切り、メリハリをつける。
5 お辞儀のタイミングと間の取り方に気を配る。
6 優しい視線を添える。
7 笑顔を添える。
ステップ 2. お待たせしないサービス
サービスのステップ2は、お客様をお待たせしないでサービスができるようになることです。
それは、すべてのお客様の入店から退店までのサービスを、お待たせしないで出来るようになることです。
4つの接点(コンタクトポイント)
4つの接点(コンタクトポイント)でまずすべきことは、すべてのお客様をお待たせしないことが完璧に出来ることです。
つまり、
1 ご来店いただいたすべてのお客様をお待たせすることがなくご案内ができ、
2 ご来店いただいたすべてのお客様のご注文をお待たせしないでお伺いすることができ、
3 ご来店いただいたすべてのお客様のお料理をお待たせしないで提供することができ、
4 ご来店いただいたすべてのお客様のお会計をお待たせすることなく出来るようになることです。
この4つのことがすべてのお客様に、確実にもれなく出来るようになった状態をサービスのステップ2の「お待たせしないサービス」と言います。
これが出来てくると、店長が目指す最大限の売上高確保と最大限の利益確保の第一歩につながってきます。
お店の評判
お店の評判とは、お客様とお店の接点(コンタクトポイント)で決まります。
仮に、1年間に10万人、20万人のお客様が来店しているとするのであれば、この4つの接点にあたる40万回、80万回のお客様とお店の接点で、あなたのお店がお客様から評価されているのです。
お店の評判とは、そんなお客様とお店の接点から生まれてくるのです。
例えば、1日300名のお客様が来られているお店であれば、その日1日でなんと1200回の接点が発生しているのです。
その1200回であなたのお店の評判が決まっているのです。
これは究極ですが、店長はその1200回全ての接点を把握し、すべてのお客様に満足していただくために、必要であれば手を打っていなくてはならないのです。
お店のオペレーションとは、そんな緊張の連続です。
だから、ひと時も木を抜ける時間など無いのです。
店長たちがピークタイムに浮いた状態になるのは、実はそんなお客様とお店の接点での評判を高めるためです。
それはお客様とお店の接点から生まれる満足感や不満足感が、次の来店に結びつく重要な決め手となっているからです。
一期一会
自分たちは毎日が同じ1日であっても、お客様はいつも期待してあなたのお店に来ていることを忘れてはなりません。
その時、お客様は期待通りか、期待以上のものをお店から感じた時に、またあなたのお店に足を運ぶのです。
しかし、お店に行っても期待以下のものしか感じられない時には、お客様は、あなたのお店から足が遠のくのです。
お店は毎日が新たな1日であることを忘れてはなりません。
おもてなしの心にもあるように「一期一会」の精神が何より大切なのです。
お待たせしないサービスは、あくまでもサービスの基本中の基本で、本来のおもてなしの心というレベルには程遠いですが、基本が出来ていないことには心を伝えることなど出来はしないのです。
基本がしっかりと出来るようになって、初めて次の段階に進めるようになってくるのです。
ステップ 3. 感じの良いサービス
サービスのステップ3は、第一段階の身だしなみと挨拶のサービス、そしてステップ2のお待たせしないサービスを感じよく、優しくやれるようになることです。
いくら身だしなみと挨拶が出来るようになっても、また、いくらお客様をお待たせしないでサービスができるようになったとしても、それで、ご来店いただいたすべてのお客様の満足と感動を得ることができるわけではありません。
やはり、サービスには感じが良いことや、優しいこと、それに親切なことが必要になってきます。
それは、おもてなしでは、感じがいいと思っていただくことや、優しいと思っていただくこと、それに親切だと思っていただくことで、お客様の感動を得ることができるからです。
しかし、感じがいいと思っていただくことや、優しいと思っていただくこと、それに親切だと思っていただくことが重要なことはわかっていても、実際にはこれがなかなか出来ないのです。
特に忙しい時間帯などは、なかなか出来ているところがありません。
ではここで、自分が客としてお店に行った時のことを思い出してください。
忙しい時間に何か物を頼もうとすると、すぐに嫌な顔をされた経験が誰にも一度や二度はあるかと思います。
お店のサービスの質を高めるには、まずはこんなことから直さなくてはいけません。
この問題の原因は、仕事に対する心構え(お客様を大切にする5つの気持ち)の欠如と、そして仕事を正しく教えてもらっていないために、根本的に仕事ができないことに起因していることが考えられます。
あなたのお店も今一度、一人一人の仕事ぶりを確認してみてください。
ここで、お店で働く一人一人の仕事ぶりを確認するための、3つの作業レベルについて説明します。
3つの作業レベル!
- 正しい作業が身についている
オーダーミスがない・調理ミスがない・配膳ミスがない等です。 - 素早い作業を身につけている
ピーク時でも正しい作業が素早く間違いなくできるということです。 - 丁寧な作業が身についている
これは、一つひとつの作業が丁寧にできるということです。
ホスピタリティ動作
仕事に対する心構えと、基本作業が身についたら、ここで初めて、お客様に感じよく思っていただくために、ひとつ一つの動作・作業から心を表現することに挑戦するのです。
お店ではよくあることですが、せっかくお待たせしないで美味しく作った料理も、乱暴にテーブルに置かれたのでは、全ては台無しになってしまいます。
もちろん、これではお客様の方も楽しいお食事の時間を過ごすことなどできません。
また、ご注文を伺う時に、接客の担当者がお客様を上から見下ろすようにご注文を伺ったのでは、お客様から漢字が悪く思われてしまいます。
ご案内でも、会計でも同じようんことがまだまだたくさんあります。
そこで、おもてなしの心を表現する丁寧な動作や丁寧な作業が必要になってきます。
目的は、お客様に感じの良いお店と思っていただくことや、丁寧なお店、親切なお店と思っていただくことです。
もちろんお客様に楽しいひと時を過ごしていただくためです。
感じの良さを単なる抽象論で考えるのではなく、動作や作業から入ることで、おもてなしの心を具体的に表現します。
もちろん、最終的には、形から入っても本物のおもてなしの心を身につけるのです。
すべては、お客様に感じよく思っていただき、そして楽しくお食事を召し上がっていただくためです。
それではここでいくつか、おもてなしの心を表現する作業を紹介します。
ステップ 4. 状況対応サービス
お店では毎日いろいろな出来事が起こっています。
では、どうしたら良いのでしょうか?
答えは簡単です。全員がいろいろな状況に対応できるようになれば良いのです。
これが、サービスが進化した4番目の状況対応サービスです。
いろいろな出来事への対応ができてこそ、繁盛するお店への道が歩めます。
もちろんお店側の不注意もあれば、お客様の不注意もあります。
しかし大切なことは、いずれの場合においても、お客様に満足をしていただいてこそ、次回のご来店につながるということです。
このステップ4からは、本格的にお店の人気の蓄積を図るための高度で実践的なサービスになってきます。
これができるようになってくると、「あのお店はサービスが良い」とお客様から良い評判をいただくことになります。
大変難しいことですが、難しいからこそ、そのお店の独自性になり、その結果としてお客様からお店の良い評判を得ることになるのです。
説明に入る前に、まずはお客様からのお手紙を読んでみてください。
私は、お宅様のお店を何時も利用させていただいているファンの一人です。
実は、先日家族で夕食に利用した時、とても嬉しく感じたことがありました。それは、私供の子供がテーブルを汚してしまった時のことです。
その際、名前はわからなかったのですが、接客係の方がすぐに、ふきんとおしぼりを持ってきて、やさしく声をかけながら、片付けてくださったのです。そのとき、嫌な顔ひとつせず、笑顔でテキパキと対応して下さり、私たちはとても楽しいひとときを過ごすことができました。また、元気をなくしてがっかりしていた子供には、何度も何度も声をかけて下さり、気づいたらお店のプレゼントか何かに使うおもちゃまで持ってきていただき、子供も大変喜んでおりました。
この日は本当に楽しい一日でした。ありがとうございました。
また必ず利用させていただきます。
お店のファンより
状況対応サービス
お店では毎日いろいろな出来事が起こっています。
お店の不注意もあれば、お客様の不注意もあります。
当然ですが、ほとんどの問題は突然起こります。
それも忙しい時に多く起こります。
だから、嫌な顔をしたり、対応が遅い結果、お客様から二次クレームをいただくことになります。
このようなお店は、お客様が増えないことを心配するよりも、自分たちでお客様を減らしている心配をまずはしなくてはなりません。
大切なことは、いずれの場合においても、お客様に満足をしていただいてこそ、次回のご来店につながるということです。
そのためには、お店の不注意であれ、お客様の不注意であれ、全員がいろいろな状況に対応できるようにならなければなりません。
これが、サービスのステップ4の状況対応サービスです。
いろいろな出来事への対応ができてこそ、繁盛店への道になってきます。
そのためには、状況対応トレーニングが必要になってきます。
状況対応のトレーニングとは、お店の不注意やお客様の不注意で起こる様々なアクシデントを想定して、その対処を全員に考えてもらい、そして、その対応方法を見についけてもらうことにあります。
大切なことは、一人ひとりが「私だったらお客様のためにこうする」という考えが重要なのです。
「この時にはこうしなさい」「こんな場合はこうしなさい」というマニュアル手法では、突然の対応と、お客様の感動を得ることなどできないのです。
そこでこの状況対応トレーニングは、「もし(if)こんな場合、あなただったらどうしますか?」という問いかけによるものです。
これによって、全員がお客様のために考える集団になってゆくのです。
単に作業をするのではなく、これからは、一人ひとりに仕事をしていただけるようにするのです。
ステップ 5. お客様と会話をするサービス
挨拶と身だしなみ(アピアランス)が習慣になり、そしてお客様をお待たせしないでサービスもできるようになり、さらに感じよくサービスが出来て、いろいろな状況にも対応できるサービスができるようになれば、次はお客様とのリラックスした会話ができるサービスです。
これが出来てくると、「あのお店はサービスが良い」とお客様から評判をいただくことになります。
なかなか出来ないからこそ独自性になり、良い評判を得ることになるのです。
会話のスタート
我々の仕事の流れは、お客様をご案内し、そしてお客様のご注文を伺い、次にお料理を運んで、最後にお客様の会計をする。
これが一般的な仕事の流れです。
この4つの流れの中で、お客様と会話をすることで「お客様の満足と感動を得る」のです。
ここで大切なことは、お店の従業員がいかにしてお客様との会話を楽しみ、そして、お客様の満足と感動を得る会話ができるかです。
しかし、これがなかなか難しいのです。
いざやってみなさいと言っても、もちろんできるものではありません。
中には自然にお客様との会話ができる人もいるかもしれませんが、お店の人全員ができなくては意味がありません。
そこで、ここでも状況対応トレーニング同様に、いろいろなシナリオを作成し、その人独自の会話の方法を考えさせ実践する方法が効果的です。
その前に、お客様との会話に慣れるために、お客様とちょっとしたゲームをすることで、まずは会話を楽しむことを覚えてもらう必要があります。
簡単なところでは、お客様のお席で、くじ引きやじゃんけん大会をし、お客様が勝ったらワンドリンクをサービスし、もしお客様が負けた場合は、次回に使える「ドリンク券」をサービスすると言った方法です。
大切なことは、お客様と従業員の間でたとえ短くても、楽しい時間を過ごすことです。
ほんの小さな出来事がお客様の心に残り、外食での楽しい時間を思い出にすることができるのです。
くじ引きやじゃんけん大会などは、仕事に大きな支障もなく、わずか30秒もあればできるものです。
それでいて、お客様も従業員も楽しめる簡単なコミュニケーションのツールになってくるのです。
くじ引きやじゃんけん大会の他にも、お誕生会や結婚記念日、それに入学祝いなどの時のショートケーキサービス等で、お客様とのコミュニケーションのきっかけができるものもあります。
会話の実践
ステップ 6. 特別なお客様へのサービス
最後は、ステップ6の特別なお客様へのサービスです。
特別なお客様とは、自分たちの熱烈なファンであり、ヘビーユーザーであり、そして自分達のお店を宣伝してくれるお客様です。
まさしくあなたのお店を繁盛店へと導いてくれる天使です。
この特別なお客様への特別なサービス内容については、これから具体的に考えれば良いことですが、最低でもお客様のお名前だけは覚えなくてはなりません。
お客様のお名前で挨拶ができるようになってくると、お客様とお店の関係はより親密な状態になってきます。
こんな親密な状態を気づくことこそが、特別なお客様へのサービスであり、自分たちのお客様づくりなのです。
お客様の名前を覚える
よく店長たちに「何人のお客様の名前を言えますか?」という質問をします。
ほとんどの店長は十人程度です。
どのお店でも、もっと常連のお客様はいるはずですが、ほとんどその常連のお客様の名前すら知らない状態です。
これで本当に、常連のお客様を大切にしているのでしょうか?
何もお客様は特別なサービスを望んでいるのではありません。
単に常連客としてお店との親密な関係を望んでいるのです。
お客様のお名前を覚えるというのは、そんな親密な関係を気づくスタートでもあります。
それはあなたのお店が、癒せる場所であったり、リラックスできる場所であったり、楽しい場所として選ばれる決定的な要因の一つになるからです。
しかしあなたのお店が、そんな癒せる場所やリラックスできる場所、そして楽しい場所でなければ、お客様は別な場所を探すことになります。
あるお店では、なんとお店のスタッフがお客様の顔と名前を覚えて、そしてお名前でお客様をお迎えするところがあります。
その中には100名のお客様のお名前を知っている人から200名のお客様のお名前を知っている人までいます。
こんな努力が繁盛店へと導いているのです。
お客様は差別してはいけませんが、区別することはあります。
それは特別なお客様という区別です。
もちろん今あなたのお店にご来店いただいているすべてのお客様が特別なお客様になり、そして自分たちの熱烈なファンになっていいただければ申し分ないことです。
そうすれば、あなたのお店も間違いなく繁盛店となることでしょう。
謝辞
故五十嵐茂樹氏の生前のご厚意に深く感謝いたします。
また五十嵐由美子様におかれましてはテキストの提供ならびに掲載の許可をいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。